ガソリン生活*伊坂幸太郎

  • 2013/04/28(日) 13:39:41

ガソリン生活ガソリン生活
(2013/03/07)
伊坂 幸太郎

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実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影―?大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でした―。謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。


語るのは、緑のデミオ。デミオに乗るのは、望月家の長男で免許取りたての普通の二十歳の良夫、歳の離れた秀でた弟の亨、良夫の妹で亨の姉のまどか、母の郁子さん。緑デミが隣人細見さんのマイカーザッパや、道ですれ違ったり駐車場で隣り合った車と情報交換したり、自分に乗っている人の会話からあれこれ想像したりする設定は、絵本のようだが、結構シリアスでハラハラドキドキさせられる。車同士のネットワークによって、車しか知らない真実があっても、人間に知らせるすべはなく、それがまたもどかしいながらも納得できるのである。事実に見える物事にも、表面に出ない真実があるのかもしれない、と思わせてくれる一冊でもある。最後の最後にじんわり胸が熱くなった。亨、なかなかやるな!

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