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玉磨き*三崎亜記

  • 2013/05/01(水) 16:59:54

玉磨き玉磨き
(2013/02/27)
三崎 亜記

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なんのために、その仕事を続けているのか。
三崎亜紀の想像力が拓く、新境地にして真骨頂。

ルポライターとして働いてきた「私」は、20年の節目を迎え、請け負い仕事をこなす中で「見逃してしまったこと」「過ぎ去ってしまったもの」を、あらためて取材して回った。細々と継承された伝統工芸、埋もれようとしている技術、忘れ去られようとしている出来事……。消え去るものと受け継がれてゆくものがある。それを記録して残すことに意味があるのだろうかーー?
あり得るかもしれない現実と地続きの不条理から、現在の私たちの姿がくっきりと浮かび上がる。人の人生に意味はあるのか?
意味を失ったのは、世界か、あなたか?
架空のルポルタージュという形を得てさらに大きく飛躍した、三崎亜記の想像力が拓く、新境地にして真骨頂。新たなる傑作です!


表題作のほか、「只見通観株式会社」 「古川世代」 「ガミ追い」 「分業」 「新坂町商店街組合」

三崎さんである。物語はごく普通に淡々と進んでいく。常と違うのは、淡々と営まれているその事柄が、わたしたちが知っている世界のこととはほんのわずかずれているということだけである。しかも今回は、ルポライターによる取材とインタビューという形を取ることで、より客観的に、その事柄にとっては外部からの目で語られているのである。読者もルポライターの目線になれるという意味で、その事柄を直に目にしているような不思議な感覚にとらわれもする。足元がぐにゃりとする心地の一冊である。

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