工場*小山田浩子

  • 2013/07/25(木) 06:57:25

工場工場
(2013/03/29)
小山田 浩子

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何を作っているのかわからない、巨大な工場。敷地には謎の動物たちが棲んでいる――。不可思議な工場での日々を三人の従業員の視点から語る新潮新人賞受賞作のほか、熱帯魚飼育に没頭する大金持ちの息子とその若い妻を描く「ディスカス忌」、心身の失調の末に様々な虫を幻視する女性会社員の物語「いこぼれのむし」を収録。働くこと、生きることの不安と不条理を、とてつもなく奇妙で自由な想像力で乗り越える三つの物語。


まるでひとつの町のような巨大な工場が舞台である。タイトルは「工場」だが、スポットライトが当たっているのは「人」である。特に三人の、エリートにはなり得ず、どちらかといえば落ちこぼれ的存在であり、だが、それなりの矜持は持ち合わせている三人。何かを成し遂げることもなく、カタルシスを得ることもない。それでもそれぞれなりに真面目に仕事に取り組む毎日なのではある。小川洋子さんの世界観に似ているかな、と思うところも所々にあったが、あれほど別世界へ連れ去られる感覚はなく、どこまで行ってもそれは工場の敷地内であるところに、得も言われぬ閉塞感を覚えるのである。体力がないときに読むと引きずりおろされそうな気もする一冊である。

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