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奇譚を売る店*芦辺拓

  • 2013/08/20(火) 16:42:43

奇譚を売る店奇譚を売る店
(2013/07/18)
芦辺 拓

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また買ってしまった―。店を出たとき、かならずつぶやく独り言。古本屋には、きっとある。まだ見ぬ、自分だけには価値のわかる本が。魅入られたように読みふけり、このくだらない現実に、二度と戻って来たくなくなるような本が。博覧強記の探偵小説家が想像力を暴走させて創り上げた、書くことと読むこと、そして本そのものの業に迫る、悪魔的傑作。


表題作のほか、「帝都脳病院入院案内」 「這い寄る影」 「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」 「青髯城殺人事件 映画化関係綴」 「時の劇場・前後編」

「また買ってしまった―。」というつぶやきで始まる連作である。古本好きの男が吸い寄せられるように古書店に入り、魅入られた一冊を手に入れて店を出、いつも行く喫茶店でその本を開き、物語の中の奇怪な事件に巻き込まれていく、というように見える物語たちである。と思っていると表題作でもある最後の一遍で様相はがらりと変わる。それぞれの物語も充分奇妙で信じがたくおぞましいものであるのだが、最後の最後にそれらを呑みこんでしまうようなさらに上を行く奇怪さに覆われてしまった心地である。背筋がぞっとする一冊である。

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