風景を見る犬*樋口有介

  • 2013/09/27(金) 14:02:55

風景を見る犬風景を見る犬
(2013/08/05)
樋口 有介

商品詳細を見る

青春ミステリーの異才・樋口有介が初めて沖縄の「今」を題材にして書下ろした長編小説。
暑熱にうだる那覇市の旧赤線街で起きた二つの殺人事件に遭遇した高校3年生の青春は、一気に泡立ってしまう。


著者には珍しく沖縄が舞台である。住んだことがないので実際は判らないが、南国ならではの怠惰さや、田舎――ことに島であるという――ながらの閉塞感やプライバシーのなさ、沖縄の歴史的な文化や価値観などが、気負いなくリアルに描かれていると思う。そういう本土にはない特殊さの中で事件は起こり、高校生の香太郎は否応なく巻き込まれていくのである。初めは単純な構図と思われていた事件自体も、香太郎や柑奈――これまたいわくつきである。というかいわくつきでない人物がいないくらいであるのだが――の勘と分析(?)によって意外な道筋に導かれ、最後の最後に驚かされることになるのである。こういうのはとても好み。青春の光と影のような一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する