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模倣の殺意*中町信

  • 2013/10/14(月) 16:51:20

模倣の殺意 (創元推理文庫)模倣の殺意 (創元推理文庫)
(2012/12/21)
中町 信

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七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版!


著者あとがきに、書かれたのは昭和四十三年、とあるように、インターネットとも携帯電話とも無縁の物語である。「絶対の自信を持って読者に仕掛ける」と内容紹介にもあって愉しみに読んだ。日本初の叙述トリックとも言われているそうで、著者の試みには敬服する。それはそれとして、犯人や大まかな動機はかなり早い時期に想像がつき、細かいところがどうなるのかという興味で読み進んだ。著者の意図したミスリードの一端はつかめたのだが、それがどう展開にかかわってくるのかはいまひとつ判らなかった。それが明らかにされたとき、驚き、腑に落ちもしたが、そんな都合のいいことがあるものだろうか、というのが正直な思いでもある。その辺りに偶然以外の何かがあったなら、もっと震えたのではないかと思わされる一冊でもある。

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