黄昏の旗--箱庭旅団*朱川湊人

  • 2013/11/10(日) 11:30:34

黄昏(たそがれ)の旗黄昏(たそがれ)の旗
(2013/10/12)
朱川 湊人

商品詳細を見る

「見ている風景は、誰も似たようなものだわ。そこから何を見つけるかは、あなたの心しだい……」
どんな時代にも、どんな場所でも、映画や本のような作られた世界のなかでも、自由自在に行き来できる「旅行者(トラベラー)」である少年が、白馬とともに旅する世界をそれぞれ「箱庭」に見立て、短篇の名手が物語を紡ぐ。
国道四号を悠々と歩きつづけるゾウ(「誰もゾウにはかなわない」)、夕暮れの車窓から見えるオレンジ色の旗(「黄昏の旗」)、ジェフじいさんが壊した機械人形(「ヴォッコ3710」)、幽体離脱して好きな女性の危機を救った男(「人間ボート、あるいは水平移動の夜」)、アンデス山中で見たファニカの正体(「ひとりぼっちのファニカ」)、最果ての岬に響く哀調に満ちたバイオリンの音(「傷心の竜のためのバイオリンソナタ」)、真っ白な水着を着た僕たちの女神(「三十年前の夏休み」)などなど。
笑いあり、涙あり、恐怖あり……直木賞作家が贈る、ちょっと不思議で懐かしい連作短篇集。


なんとも不思議な物語の数々である。わたしたちが暮らしている世界と似てはいるのだが、尺度が少しずつずれているような、微妙な違和感を覚えつつ読み進む感じである。白馬を連れた少年が時間旅行している先々で出会った物語なのだと最後で判るが、それぞれの物語中に、ちらっとでも彼が姿を見せてくれたらもっと効果的だったのでは、という気もしなくはない。しばし時間旅行のお供をしている心地の一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する