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海猫*谷村志穂

  • 2004/10/03(日) 20:01:08

☆☆☆・・



 許されぬ恋に自らを投じた母。
 残された影を抱いて育つふたりの娘。
 北の風土を背景に、谷村志穂が全身全霊を込めて描く、
 大河小説。

 義弟との愛にすべてをかけた、母=薫。
 痛みを胸に抱きながらも、恋に目覚めてゆく、
 ふたりの娘=美輝、美哉。
 光を探し、海鳥は凍てつく空をさまよう。
 風雪に逆らうかのように、ひとは恋という炎にその身を焦がす。
 函館、南茅部、札幌、
 女たちが心の軋むほどに求めた、運命の人は――。
 谷村志穂の新生を告げる長編小説。

                           (帯より)


昭和三十二年の函館から物語ははじまる。ロシア人との混血の父を持つことの意味は、時代背景を思えば 今とはまったく別のことであっただろう。しかもその父も今は亡くなっているとなれば 余計にその娘が背負うものは大きかったことだろう。舞台が現代ではなかったゆえの悲劇は確かにあったのだと思う。しかし、ただそれだけではないような深く冷たい哀しさを 薫には感じてしまうのだ。輪廻のような逃れられない何かを。

そんな薫が嫁ぐのは、弟のものを何でも奪ってしまう、と言われる邦一だった。自分ではそのわけは判らないのだが、物語を通して邦一は奪いつづけ、そして同時に奪われつづけているような気がする。いちばん可哀想なのは彼だったかもしれない。

ともあれ、誰もが 海がすべて繋がっているようにひとと繋がっていることを想ったとき、それぞれに自分を引き受け 頼るべきものに頼って満ち足りてゆくのである。

 TB
ゆうきさん



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海猫 谷村志穂

海猫谷村 志穂新潮社 2002-09by G-Tools再読。出てすぐに読んで、谷村さん、気合入ってるなあ~、と、思った。内容を忘れた頃に映画化されて、その映画を見たとき、物足りないなあ、って思った。原作の中の何かとても重要なものが、映画では描かれていないなあって思った。

  • From: IN MY BOOK by ゆうき |
  • 2005/08/07(日) 12:35:39

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