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だから荒野*桐野夏生

  • 2013/11/24(日) 16:41:12

だから荒野だから荒野
(2013/10/08)
桐野 夏生

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もう二度と会うことはないでしょう。
46歳の誕生日。身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ――
「家族」という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!
大反響の毎日新聞朝刊連載に、大幅な加筆修正を施して書籍化。

傲慢な夫や息子たちに軽んじられながら、家庭をささえてきた主婦・朋美は46歳の誕生日、ついに反旗をひるがえす。衝動にかられ夫自慢の愛車で家出、「初恋の男が長崎にいるらしい」という理由で、長崎に向かって高速道を走り始めるのだった。奪われた愛車と女の連絡先の入ったゴルフバックばかり心配する夫を尻目に、朋美は自由を謳歌するが―― 冒険の果てに、主婦・朋美が下した「決断」とは?


一読、著者らしい、と思う。人間の毒をこれでもかというほど曝け出し、家族の共依存性の醜さを残酷なまでに描き、そして朋美は46歳の誕生日、自らがセッティングしたディナーの席から出奔する。拍手である。自分にはできないことをやってくれた朋美に着いていき、どんな運命に弄ばれるのか、読者はわくわくハラハラするのである。道中の災難や、思いがけない幸運、そして落ち着いた先での疑念。家を捨ててきた切迫感が幾分薄れた印象の後半は、やはり収束へ向かう布石だったのだろうか。冷静に考えれば何一つ解決してはいない気がするのだが、石を投げ入れ、波紋を起こした影響は、きっとどこかには現れるのだろう。つまらない気分半分、ほっとした気分半分の一冊である。

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