三途の川で落としもの*西條奈加

  • 2014/03/17(月) 19:40:52

三途の川で落しもの三途の川で落しもの
(2013/06/27)
西條 奈加

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死者の未練はミステリー。三途の川で出会った生意気な小学6年生と江戸の侍2人。でこぼこトリオは死者の未練解決に奔走する。

小学6年生の叶人(かなと)は、学校の近くの大きな青い橋から落ちて、三途の川へ辿り着いた。そこでは輪廻転生からはずれた江戸時代の武士とあらくれ者が、死者を現世から黄泉の国へと送りだす渡し守をしていた。神話では、この三途の川の渡し守を"カローン"と呼ぶ。親殺しという呪われた因果から逃れられず、優しいまなざしの中にいつも悲しみをたたえる十蔵。殺人鬼と恐れられ、動物的勘にすぐれるあらくれ者・虎之助。死者を無事黄泉の国へと渡すには、現代世界へ降り立ちその者が強烈に残した未練の元を解決しなければならない。「事故か、自殺か、他殺か」死因がわからず現実世界へも黄泉の国へも行けない叶人は、いがみ合う2人の江戸者を手伝うカローン隊の一員となる。


輪廻の輪から外れた江戸者の二人・十蔵と虎之助と、生死の境をさまよっている小学生・叶人が、ダ・ツ・エヴァ(奪衣婆)と県営王(懸衣爺)の計らいによって、三途の川の渡し守になり死者を彼岸に渡すことになる。現世に心を残した死者の魂(地蔵玉)は、ふとしたきっかけで三途の川から現世に落ちてしまい、三人は別人の躰を借りてそれを探しに行き、地蔵玉の持ち主の心残りを解決すべく奔走するのである。筋としては、ときどき見かけるものではあるが、舞台設定と三人のキャラクタの取り合わせとが意表をついていて、なかなか面白い。三途の川にやってくる人たちを見ているうちに、叶人の投げやりだった心持ちにも次第に変化が現れ、自身の気持ちとしっかりと向き合うことができるようになっていく様子がとてもいい。それぞれが抱えている心の闇はとても深く、気持ちが沈むが、それを上回る大きなものに守られているような心地になる一冊である。

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