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卵町*栗田有起

  • 2014/03/21(金) 17:04:16

卵町 (ポプラ文庫)卵町 (ポプラ文庫)
(2014/02/05)
栗田有起

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サナは、亡くなった母の願いを叶えるため、かつて彼女が過ごしたという卵町を訪れる。卵町は、とても静かで、とてもやさしい、特別な場所だった。サナは、そこで彫刻家のエイキ、妻を亡くしたクウさん、元看護師のタマキさん、そして母にとって特別な存在であったシイナと出会う。そして、想像もしなかった、母の秘密を知ることになり――。心温まる感動作が、いきなり文庫で登場です!


母が亡くなったが泣けなかったサナ。母が寄ってくると、その分自分から距離を取るような、そんな関係だった母の最期の願いが、自分がかつて暮らした卵町に行ってシイナに自分の死を伝えてほしいということだった。卵町は、死にゆく人と彼らを見守る人たちの町で、曇り空の下に静かに穏やかに息をしているような町だった。サナは、そこで借りた部屋の大家のスミや、森の彫刻家エイキらと触れ合いながらシイナを探し当て、彼女から母の思い出話を聞くことになる。そこに走らなかった母の若いころがあり、生き生きとした母の姿があって、サナは当惑しながらものめりこんでいく。いつしか卵町を去りがたくなってくるほどだった。いまここに自分があるのは、誰かとつながっていたからなのだと、静かに自然に受け入れられるような穏やかな気持ちにさせてくれる一冊である。

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