穴*小山田浩子

  • 2014/04/05(土) 17:11:21

穴
(2014/01/24)
小山田 浩子

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仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ夏。見たことのない黒い獣の後を追ううちに、私は得体の知れない穴に落ちる。夫の家族や隣人たちも、何かがおかしい―。ごく平凡な日常の中に、ときおり顔を覗かせる異界。『工場』で話題を集めた著者による待望の第二作品集。芥川賞受賞作のほか「いたちなく」「ゆきの宿」を収録。


突き詰めれば、夫の転勤に伴い、同じ県内でも田舎の夫の実家の隣に立つ二階家に引っ越してきた妻が遭遇する少し変わった人たちと、そこでの暮らしに折り合いをつけようとする妻の物語であろう。家賃を払わなくてよくなり、特に好きでもない仕事も辞められていいことばかりのように思えた引っ越しも、移ってみれば当たり前だがいろいろと勝手が違うことがあり、悪意のないすれ違いなどが度重なったりするところへ、不妊の悩みなども加わって、ほんのわずか不安定になっている妻の精神状態そのものの物語のようでもある。客観的に見れば幸せそうであるにもかかわらず、とても不安定で暗い印象なのは、たぶんそんなわけなのではないだろうか。妻・あさひは穴から抜け出せたのだろうか、それとも……。その後が気になる一冊でもある。

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