スペードの3*朝井リョウ

  • 2014/04/12(土) 07:27:34

スペードの3スペードの3
(2014/03/14)
朝井 リョウ

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ミュージカル女優のファンクラブまとめ役という地位にしがみついている美知代。地味で冴えないむつ美。かつての栄光は見る影もない女優のつかさ。待ってたって、「革命」なんて起きないから。私の人生を動かしてくれるのは、誰?


どんなに成功しているように見える人でも、自分というものに完璧に満足してはいないのだろう。こうなりたいと思う理想の自分、他者からこういう人だと見られる自分、自分だけが知っている本当の自分。三つの自分の間でもがきながら、努力したり諦めたり妥協したりして生きているのが人間なのかもしれない。持って生まれたものを超えた何者かになることは難しすぎて、三人の女性のもどかしさややり切れなさに、我が事のように胸が痛む。ただ、どの女性についても、尻切れトンボのような印象もあり、――それが狙いなのかもしれないが――それぞれをもっと書ききってほしかったという思いもある。誰でも同じなんだよ、というのが慰めになるかどうかは判らないが、少し救われた心地にもなる一冊である。

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