七月のクリスマスカード*伊岡瞬

  • 2014/04/23(水) 17:09:19

七月のクリスマスカード七月のクリスマスカード
(2008/07/01)
伊岡 瞬

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両親の離婚後、母と弟の3人で暮らす小学6年の杉原美緒。無理をしてきた母はアルコールに依存し、入退院を繰り返すようになってしまった。弟とともに母の従妹の薫に引き取られた美緒は、ますます内にこもっていく。そんな折、薫が経営する喫茶店の常連で元検事という初老の男と知り合いになる。美緒は徐々に心を開いていくのだが、彼は過去に娘を誘拐され、その事件は未だ解決されていないことを知る。数年後、成長した美緒は何かに背中を押されたかのように未解決の誘拐事件を探りはじめ、その裏に複雑な人間関係と驚愕の事実が隠されていたことを突き止める―。


小学六年生の少女にとってはあまりにも過酷な家庭環境にあって、美緒は心を閉ざし、周りと関わりを持とうとしなくなっている。母の従妹・薫の古くからの知人である永瀬は、愛娘・瑠璃を誘拐されるという痛ましい想いを抱えながら生きている。薫の店で出会った二人は、互いに何か感じるところがあったのか、次第に打ち解け、頼り頼られる存在になっていく。永瀬の娘の誘拐事件の顛末を間に挟み、時間はずいぶん飛ぶのだが、いくら時が経っても過去の事件が尾を引いており、永瀬の身にも次々と災いが降りかかるのがやるせない。美緒は瑠璃ちゃん事件を追いかけ、真相と思えるところまでたどり着くが、それと同時にいままで自分をがんじがらめにしていた家族の真実にも気づくのだった。だがどちらも、真実が判ったからと言って救われることがないのがあまりにも哀しい。この先の美緒の人生を応援したくなる一冊である。

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