怒り 下*吉田修一

  • 2014/04/27(日) 08:29:19

怒り(下)怒り(下)
(2014/01/24)
吉田 修一

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愛子は田代から秘密を打ち明けられ、疑いを持った優馬の前から直人が消え、泉は田中が暮らす無人島である発見をする―。衝撃のラストまでページをめくる手が止まらない。『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!


日本全国、あちこちに山神かもしれないと思わせる怪しい人物がいて、なんとなく周りの人たちを不安にさせていながら、決定的な証拠がないまま終わった上巻だったが、下巻では、周りの人たちがそれぞれ疑念の人物に何らかの働きかけをし、それまでの良好な関係を壊してしまう。大切な人を疑う不安と罪悪感、大切な人から疑われる憤りと哀しみが、あまりにも切なく、胸に迫る。そんななかで、山神本人がいちばんしれっと平気な顔をしていたように見えてしまうのはわたしだけだろうか。山神が追われることになった元々の殺人事件は結局彼の死とともに解明されずに終わり、彼が何に怒って犯行以及んだのかは闇のなかであるが、そんな彼に対してこそ強い怒りが湧くのである。翻弄された人たちのあしたが明るいことを祈りたくなる一冊である。

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