明日の雨は。*伊岡瞬

  • 2014/05/05(月) 18:31:04

明日の雨は。明日の雨は。
(2010/10/20)
伊岡 瞬

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「明日の雨は、明日にならなければ降らない」―親父の遺した言葉の意味は、今の俺には分からない。森島巧は公立小学校で音楽の臨時教師として働き始めた23歳だ。音楽家の親の影響で音大を卒業するも、流されるように教員の道に進んでしまう。腰掛け気分で働いていた森島だが、学校で起こる予想外のトラブルに巻き込まれていき…。「M」と教員の間で呼ばれる宮永敏美は連日学校にクレームを付けてくる。今年は新人教師・安西久野がターゲットにされたようだ。ある日、宮永と親しい大柴家でぼや騒ぎが起こる。翌日、宮永が学校に怒鳴り込んできて、ぼや騒ぎの犯人は安西だと断定するのだが…。曇りがちな心を晴れやかにする珠玉の青春ミステリー。


自分自身の身の処し方さえ覚束ない音大卒の23歳・森島巧が主人公である。公立小学校の臨時音楽教師という職をなんとなく得て、流されるままに腰掛け気分で勤め始めた。だがそこには、思ってもいなかったさまざまな――生徒の、保護者の、そして教師の――問題があり、どれも無責任に放っておけるものではなかった。巧は次第に学校の問題に真剣になっていき、生徒の問題にも真剣に向かい合うようになるのである。教師になり切っていないからこそできることもあったかもしれない。流されるままだった巧の成長譚でもあり、熱意を持って臨むことや自分に正直に生きることの大切さを身をもって示す物語でもある。これからますますノリにノッテくる巧の姿をもっと見たいと思わされる一冊である。

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