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本屋さんのダイアナ*柚木麻子

  • 2014/06/18(水) 13:39:04

本屋さんのダイアナ本屋さんのダイアナ
(2014/04/22)
柚木 麻子

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私の呪いを解けるのは、私だけ――。すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』。「大穴(ダイアナ)」という名前、金色に染められたバサバサの髪。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に――。自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。最強のダブルヒロイン小説。


姉のような歳でキャバ嬢の母と二人暮らしの大穴(ダイアナ)と誰もが羨む家庭環境にある彩子の二人が主人公の物語である。大筋は、彩子が挫折し、ダイアナが思い通りの道を掴み取るという、大方の想像通りではあるが、付随する出来事が、それぞれにとってなかなか過酷に描かれている。だが、それぞれが自分を信じ、自分自身でそれを乗り越えた先で再会し、再び心を通わせる場面は、心底ほっとさせられる。そして、小学校三年生からずっとダイアナを見守り続ける肉屋の武田君がとてもいい。ダイアナの母ティアラも、これほど極端に走らず、もう少し何とかならなかったものかと思いもするが、それでこその物語なのでまあ良しとするか。自分に呪いをかけるのもそれを解くのも、自分だけなのだと改めて思わされる一冊でもある。

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