チョコレートの町*飛鳥井千砂

  • 2014/07/02(水) 07:19:52

チョコレートの町チョコレートの町
(2010/07/21)
飛鳥井 千砂

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不動産会社で店長の遼は、故郷にある店舗に一時的に赴任する。閉塞的な土地柄や何事にもいい加減な家族を嫌っていたが、友人の結婚問題や、父親の退職にまつわるトラブルなどを経て、見方が変わっていく。そして遼自身も自分を見つめ直していた。共感度抜群のエピソードがちりばめられた、一人の青年の成長物語。


日本で四本か五本の指には入るであろう地方都市のすぐ近くの小さな町を故郷に持つ早瀬遼は、東京――と言っても川崎だが――の不動産会社で店長をしている。ある日、故郷の町の支店の店長の不祥事で、臨時店長として赴任し、久々の実家暮らしをすることになるのである。何もかもが中途半端な町や家族にいらいらしながらも、支店の人たちや、前店長の後始末をしに来ている人事部監査室の吉村さんとの関係は良好で、あちこちで出会う同級生たちも何かと声をかけてくれる。反対に、本来自分が店長を務める川崎の店には必要とされていないのではないかと、いささか自信を失ったりもする。自分自身の立ち位置や気持ちの変化に戸惑いながらも、いままで見えていなかった町のこと、家族のことが見えてきて、あれほど嫌っていた町を見直したりもするのだった。自分がほんとうにどうしたいのか、はっきりと答えが出たわけではないが、どこに暮らしていても、帰りたいと思える故郷になったことは間違いなさそうである。読めば故郷を愛していると思わず言ってしまいそうな一冊である。

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