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八月の六日間*北村薫

  • 2014/07/20(日) 17:04:18

八月の六日間八月の六日間
(2014/05/29)
北村 薫

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0歳目前、文芸誌の副編集長をしている“わたし”。ひたむきに仕事をしてきたが、生来の負けず嫌いと不器用さゆえか、心を擦り減らすことも多い。一緒に住んでいた男とは、3年前に別れた。そんな人生の不調が重なったときに、わたしの心を開いてくれるもの―山歩きと出逢った。四季折々の山の美しさ、怖ろしさ。様々な人との一期一会。いくつもの偶然の巡り合いを経て、心は次第にほどけていく。だが少しずつ、けれど確実に自分を取り巻く環境が変化していくなかで、わたしは思いもよらない報せを耳にして…。生きづらい世の中を生きる全ての人に贈る“働く山女子”小説!


「九月の五日間」 「二月の三日間」 「十月の五日間」 「五月の三日間」 そして表題作である「八月の六日間」

読み始めて、著者は北村薫氏ではなく、40代の女性エッセイストだったかと、思わず表紙を見直してしまった。山登りの経験はないので、その辺りのリアルさは判らないが、それでも、装備やらルートやら、山小屋でのあれこれやら、体験した人でないと判らないような臨場感が漂っている。荻原浩氏オバサン説(わたしが勝手に思っているだけだが)に加えて、北村薫氏女性説も唱えたくなる。それを抜きにしても、三年間一緒に暮らした男性と離れ、仕事で責任ある立場になり、古くからの心を許せる友人を喪い、心細さと力強さの間で揺れ動く女性の姿が目の前に立ち上ってくるようで見事である。読んでいる間、くっきりと彼女が目の前にいると思える一冊である。

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