虚ろな十字架*東野圭吾

  • 2014/08/23(土) 16:30:56

虚ろな十字架虚ろな十字架
(2014/05/23)
東野 圭吾

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別れた妻が殺された。もし、あのとき離婚していなければ、私はまた遺族になるところだった。東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、深い思索に裏付けられた予想もつかない展開。私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。


死刑制度を題材にした物語である。ひとり娘をほんのわずかな油断から無残に殺され、その後別れた夫婦のその後の人生と、その先で別れた妻が見舞われた殺人事件。行きずりの犯行と思われていた殺人事件に、元夫は見過ごせない偶然を発見し、思いもかけない真相にたどり着く。その過程で、関わりのある人々の死刑に対する想いがそれぞれに主張されるが、著者自身が何らかの答えを出しているわけではない。正論は正論で存在し、当事者になればまた違った切望も発生するだろう。考えれば考えるほど堂々巡りのように同じところを行ったり来たりすることになるが、考えることが大切なのかもしれない。命の大切さと償いのことも考えさせられる一冊である。

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