倒立する塔の殺人*皆川博子

  • 2014/09/24(水) 17:08:50

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)
(2011/11/17)
皆川 博子

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少女を殺したのは、物語に秘められた毒――戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり……物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。


女学校というある意味閉ざされ守られた場所が主な舞台であり、さらに戦時下という特殊な心理状況の下であったからこその物語であろう。物語の中で綴りあげられていく物語と、物語の中の現実とが入り組み互いに影響を与え合ってより不可思議な景色を見せているようでもある。時を隔て、ふとした勘違いを利用し、当初は思いもしなかった事実が明らかにされていくのだが、読むうちにだんだんと現実と作中作のどちらが先なのか判然としなくなってくるのがめまいのような感覚で、タイトルとも相まって不思議な心持ちにさせられる一冊である。

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皆川さん、スゴイですねぇ
80を超えてまだ書き続け
しかも「かつての名声で」評価を受けるのではなく
常に新境地を披いていくパワー
見習わなくてはなりません、私

  • 投稿者: チョロ
  • 2014/09/25(木) 17:37:52
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わたしはほぼ初めてなのだけれど、いままでとは作風がずいぶん違うという評判はよく目にします。
なかなか勇気のいることだと思いますけれど、お見事にやってのけているのが素敵ですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2014/09/25(木) 18:43:50
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