離陸*絲山秋子

  • 2014/10/19(日) 18:40:09

離陸離陸
(2014/09/11)
絲山 秋子

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「女優を探してほしい」。突如訪ねて来た不気味な黒人イルベールの言葉により、“ぼく”の平凡な人生は大きく動き始める。イスラエル映画に、戦間期のパリに…時空と場所を超えて足跡を残す“女優”とは何者なのか?謎めいた追跡の旅。そして親しき者たちの死。“ぼく”はやがて寄る辺なき生の核心へと迫っていく―人生を襲う不意打ちの死と向き合った傑作長篇。


初めは、中央よりも現場が好きな国交省の若手キャリア・佐藤弘(ひろむ)とダムの話しだと思って読み進むと、いきなりイルベールという黒人が現れ、女優の行方を知らないかと問われる。どうやら女優とは、佐藤が昔つき合っていた乃緒という女性のことらしい。イルベールは、乃緒の息子を預かり、父親役をやっているという。調べてみると、乃緒らしい女はイスラエルの映画に出ていたり、戦中のパリで怪しい仲介人をしていたりと、なにやら得体がしれない。ダムの仕事をしながら、喜んだり悲しんだり、しあわせを感じたり、日常に倦んだりという現実的な物語だとばかり思っていたら、いきなり時空を超えて連れ去られたような浮遊感にとらわれる。確実に生きるとはどういうことか。死んでいくとはどういうことか。すっきりと真相が判ったわけではないが、なんとなく納得させられるものがある。人はいつでも移動中なのかもしれないと思わされる一冊でもある。

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