トオリヌケキンシ*加納朋子

  • 2014/10/31(金) 18:47:18

トオリヌケ キンシトオリヌケ キンシ
(2014/10/14)
加納 朋子

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人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。


表題作のほか、「平穏で平凡で、幸運な人生」 「空蝉」 「フー・アー・ユー?」 「座敷童と兎と亀と」 「この出口の無い、閉ざされた部屋で」

場面緘黙症、共感覚、脳腫瘍、相貌失認、脳梗塞、癌。どれもがただならない深刻さである。それが一話ごとの要素となっているのだから、さぞや暗く重い物語なのだろうと思われるが、さにあらず、どれもがなんだか爽やかでほのぼのさせられる物語なのである。何とも不思議な感覚である。それはやはり、たぶん著者ご自身が辛く苦しい体験をくぐり抜けてこられたからということが大きいのだろうと思う。誰だって明るく楽しく日々を生きていいのだ、きっと自分を必要としてくれる人がいるのだ、としみじみと思えてくる。物語同士が何気なくさらりと繋がっているのも嬉しくなる。読み終えても余韻に浸っていたい一冊である。

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