いとの森の家*東直子

  • 2014/11/15(土) 17:00:41

いとの森の家 (一般書)いとの森の家 (一般書)
(2014/10/29)
東 直子

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「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。
中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?
そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。


なんとなく勝手に悲しいことが起こる物語のような気がしていたのだが、ちっともそんなことはなく、あたたかな気持ちで満たされる物語だった。にぎやかさや便利さ、都会のごちゃごちゃが何もない自然あふれる田舎の森での暮らしは、ほんの短い間のことだったがとても濃密で、大切なことをたくさん知ることができ、加奈子にとってかけがえのない時間になったのだった。さまざまな思いを抱える人がいること、そのどの思いもとても大切であることを改めて思わされる一冊でもある。

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