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処刑までの十章*連城三紀彦

  • 2014/11/19(水) 07:17:07

処刑までの十章処刑までの十章
(2014/10/09)
連城 三紀彦

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ひとりの平凡な男が突然消えた。弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと向かう。真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも翻弄される直行。夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱きながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。禁断の愛、交錯する嘘と真実。これぞ、連城マジックの極み。耽美ミステリーの名手が遺してくれた渾身の1000枚!闘病中に書き上げた執念の大長編を、追悼の意を込めて、一周忌に刊行―。


怖かった。初めはただの浮気の果ての逃避行かと思われた平凡な男の失踪が、美しい青い蝶・アサギマダラを介してはるか四国の放火事件やバラバラ死体遺棄事件と繋がり、じわりじわりと怖くなる。しかも、夫・靖彦に失踪されて呆然とする妻だと思っていた順子は、靖彦の弟・直行に痴れっと嘘をつくのである。夫と妻と義弟の捻じれた三角関係、そしてはるか四国の歪んだ三角形。関係があるようで遠いようなもどかしさ。真相に近づきかけるとするりと逃げられるような喪失感。そして思っても見なかった真相。捻じれ歪み背筋がうすら寒くなる一冊だった。

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