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火の粉*雫井脩介

  • 2004/11/23(火) 22:26:42

☆☆☆☆・


 有罪か?無罪か?手に汗握る犯罪小説の最高傑作!
 自白した被告人に無罪判決を下した元裁判官へ
 今、「火の粉」が降りかかる。
 あの男は、殺人鬼だったのか?

 「お隣りさん、本当にいい人ね」
 
 元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、
 かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。
 愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い・・・・・
 武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。

 「なんか、いい人すぎない?」

                           (帯より)

裁くのも裁かれるのもどちらも人である。
裁く側が裁かれる側のことを何もかも調べ尽くすことはおそらく不可能に近いだろう。見落としていること、通り過ぎてしまうことも当然あるはずである。
そんな隙間に重大なものが潜んでいたとしたら・・・。

本能が知らせる虫が好かない感じ、疑惑とも呼べない薄っすらとした不信、疑心暗鬼、疑うことに対する躊躇。
さまざまな要因が絡み合い じりじりと追いつめられ、家族がばらばらになりかけ、崖っぷちにまで追いやられていく過程は、軌道修正しようにもできずに どんどん深みに嵌っていくようでもどかしく恐ろしい。

不変の風上などはどこにもない。
という 判決後の勲の想いに 深くうなずいた。

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