夜また夜の深い夜*桐野夏生

  • 2015/01/04(日) 17:15:57

夜また夜の深い夜夜また夜の深い夜
(2014/10/08)
桐野 夏生

商品詳細を見る

私は何者?私の居場所は、どこかにあるの?どんな罪を犯したのか。本当の名前は何なのか。整形を繰り返し隠れ暮らす母の秘密を知りたい。魂の疾走を描き切った、苛烈な現代サバイバル小説。


自分の名前が舞子であること、一緒に暮らす母が日本人であること、それ以外は何も知らず、日本に行ったこともない。世界のあちこちに移り住み、ひとところに長居することもなく、それぞれの地で違う名を名乗り、親しい友人も作らない。国籍もIDもない、根なし草のような暮らしを続けていたある日、マイコはMANGA CAFFEのチラシをもらう。そこで日本の漫画に出会い、夢中になるうち、少しずつ自分の在りようについて考えるようになり、やがて家を出ることになる。それからナポリの街でマイコのサバイバルが始まるのである。この物語は、それらのことを、マイコが自分の境遇と似ていると親近感を持った七海という女性に宛てて手紙に書く、という体裁を取っているので、読者はマイコの客観的な思いを手紙を通して知ることができるのである。マイコの出自を含め、物語がどう展開し、どこに落ち着くのか、なかなか予想できずに読み進んだが、ラストは以外にあっけなかったようにも思われる。だが、マイコにも母にも物語の先があるのだと思うと、少しでも穏やかに、と願わずにはいられない。激動の一冊だった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する