避難所*垣谷美雨

  • 2015/01/29(木) 18:46:48

避難所避難所
(2014/12/22)
垣谷 美雨

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なして助がった? 流されちまえば良がったのに。3・11のあと、妻たちに突きつけられた現実に迫る長篇小説。乳飲み子を抱える遠乃は舅と義兄と、夫と離婚できずにいた福子は命を助けた少年と、そして出戻りで息子と母の三人暮らしだった渚はひとり避難所へむかった。段ボールの仕切りすらない体育館で、絆を押しつけられ、残された者と環境に押しつぶされる三人の妻。東日本大震災後で露わになった家族の問題と真の再生を描く問題作。


椿原福子、漆山遠乃、山野渚、三人それぞれの事情が語り手を次々交代しながら描かれている。冒頭からいきなり地震とそれに続く津波の描写で、胸を塞がれる心地で読み始めたのだが、運良く命拾いした人たちのその日からの避難所暮らしの過酷さは、想像を絶するものだった。外側からではうかがい知れない避難所の現実や尋常ではない気持ちの動きや、本音などがつぶさに書かれていて、そのあまりのリアルさに、暗澹たる気持ちにさせられる。安全な場所にいて考える支援のなんと的外れなことかと、胸が痛くなる。なにが本当に必要で、どこまで我慢できるのか、物質的なことはもちろん、人間関係においても、核のところが露わにされていくように思える。誰を責めても、なにをどうしても、埋めることができないことがあるのだと思い知らされる一冊である。

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