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夏の名残の薔薇*恩田陸

  • 2004/11/28(日) 22:33:40

☆☆☆・・



 山奥のクラシックなホテルで、毎秋開かれる豪華なパーティ。
 その年、不吉な前兆とともに、次々と変死事件が起こった。
 果たして犯人は・・・・。
 巧妙な仕掛けで読者に挑戦する渾身の一作

 この殺人事件は真実か幻か!?


                        (帯より)


頭の中に浮かんだ映像をそのまま文章にした 映画のシナリオのような文章が、物語の間に差し挟まれている。
読み慣れないうちは 意味するところがよくわからなかったのだが、読み進むうちに それが もやもやとした予感を誘う効果があるように思われてきた。

そのシナリオは、実際にはなかった去年の約束を さもあったように思い込ませて女と出奔するというものなのだが、思い込まされようとしている間の女の捉えどころのない不安定感が、物語の本筋への不安感との相乗効果をあげているようなのだ。

このホテルでの数日間に起こったことと起こらなかったこと。

この場所では 同じ人びとによる いくつものまったく別の時間が流れているようにも見える。

どれが実際に起こったことなのか、都合のいいように改ざんされた記憶なのか。
真実は読者の数だけあるのかもしれない。

 TB
ちえこあさん

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夏の名残の薔薇 [恩田陸]

夏の名残りの薔薇恩田 陸 文藝春秋 2004-09-25山奥のホテルに集まる、三姉妹に招待された人々。様々な人々の思いが交錯する中、雪に閉ざされたそのホテルで起こる出来事とは…。うわぁ。すごい作品でした。何も知らずに普通に読み始める…途中であれ?となりました。そして

  • From: + ChiekoaLibrary + |
  • 2005/10/13(木) 12:09:43

この記事に対するコメント

いや、もう何が真実やら…めちゃくちゃ翻弄されました!でもそれが楽しかったです。うまいなぁ~!

  • 投稿者: chiekoa
  • 2005/10/13(木) 12:10:35
  • [編集]

恩田さんは
ちゃんとわかっていらっしゃるのかしら?
なぁんて思っちゃいそうです^^

  • 投稿者: ふらっと
  • 2005/10/13(木) 12:47:04
  • [編集]

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