冷蔵庫を抱きしめて*荻原浩

  • 2015/02/15(日) 17:10:35

冷蔵庫を抱きしめて冷蔵庫を抱きしめて
(2015/01/22)
荻原 浩

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心に鍵をかけて悪い癖を封じれば、幸せになれるかな? いや、それではダメ――。新婚旅行から戻って、はじめて夫との食の嗜好の違いに気づき、しかしなんとか自分の料理を食べさせようと苦悶する中で、摂食障害の症状が出てきてしまう女性を描いた表題作他、DV男ばかり好きになる女性、マスクなしでは人前に出られなくなった男性など、シニカルにクールに、現代人を心の闇から解放する荻原浩の真骨頂。


表題作のほか、「ヒット・アンド・アウェイ」 「アナザーフェイス」 「顔も見たくないのに」 「マスク」 「カメレオンの地色」 「それは言わない約束でしょう」 「エンドロールは最後まで」

ほんの些細なきっかけで、封じ込めていたものが堰を切ったように。始まりはさまざまだが、心を病み、さまざまな症状を呈する人々の日々の物語である。以前からここにも書いているように、荻原浩オバサン説は、今作でも健在である。ご本人のお姿を拝見したことがあってさえ、オバサン説を唱えたくなるほどである。女性のふとした思考回路や振舞いの描写がお見事である。しかもいつもよりも年齢の幅も広がっているような。傍から見ると、なにがこんなに深刻にさせているのか理解に苦しむが、本人は生き死にに関わるほどの苦悩のただなかにいる様子が絶妙である。深刻さのなかに、可笑しみもある一冊である。

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