スープ屋しずくの謎解き朝ごはん*友井羊

  • 2015/03/08(日) 08:35:30

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)スープ屋しずくの謎解き朝ごはん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
(2014/11/07)
友井 羊

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東京のとある一角。どこの店も「close」の看板がかかる早朝に、スープ屋「しずく」は、こっそり営業している。フリーペーパー制作の仕事をする理恵はある朝、しずくでポトフを口にした途端に、しずくの虜になった。
職場で起きた盗難事件と対人関係で悩み、食欲も減退していた理恵。店主の麻野に悩みを抱えていることを見抜かれて話すと、麻野は推理を繰り広げ、鮮やかに解決する!


「嘘つきなボン・ファム」 「ヴィーナスは知っている」 「ふくちゃんのダイエット奮闘記」 「日が暮れるまで待って」 「わたしを見過ごさないで」

スープって、想像するだけで、身も心も温めて解いてくれるような気がする。しかもとびきりおいしい日替わりスープが、早朝ひっそりオープンしている静かなお店で食べられたら、幸福感に包まれること間違いない。しかも店主は穏やかで、自然に客の状態に寄り添ってくれるとしたら、これ以上のしあわせはないだろう。いままでほとんど知られていなかったのが不思議なくらいである。少しずつ増えてくる客たちの日常の困りごとを、話を聞くだけで解きほぐし、真実を明らかにしてしまう彼に、つい誰もが自分をさらけ出してしまうのもうなずける。だが、小学生のひとり娘と暮らす店主には、何か胸に仕舞った悲しみがあるようでずっと気になりながら読み進めることになるのだが、最後の物語でそれがわかると、胸の中に切ないあたたかさがじんわり広がるのである。丁寧に作ったスープを飲みたくなる一冊でもある。

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