視線*永嶋恵美

  • 2015/03/15(日) 06:51:23

視線視線
(2012/08/18)
永嶋 恵美

商品詳細を見る

劇団員の夏帆は、アルバイトをしながら日々の生計を立てている。一人暮らしの32歳。20代のころのように素直に夢を追うこともできず、かといって郷里には戻りたくない。アルバイトの住宅地図の調査に訪れた埼玉県のベッドタウンは、小学校の頃に一時期住んでいた街だった。夏帆は小学校の同級生と再会し、その夜、彼女の家に向かう途中で運悪く通り魔に遭遇してしまう…。「日常の些細な悪意」の連鎖が引き起こす長編サスペンス。


劇団員としても目が出ず、住宅地図調査員のアルバイトも充実しているとはいいがたい。32歳独身の夏帆がある日調査で訪れた、小学生のわずかな期間を過ごした街で、通り魔に遭う。そこから物語は展開し始めるのである。かつての級友たちは身勝手なおばさんになり、自分とは全く別の世界に生きている。彼女らの身近で起きた殺人を含む連続通り魔事件に否応なく巻き込まれることで、夏帆自身もいままで目を逸らしていた自分自身と対峙することになる。そして通り魔事件にどんどん深入りしていくのだった。住宅地図調査員として受ける視線、近隣の人間関係における視線、外部からのその地域への視線、世間全般からの視線。さまざまな視線が動機にもなり目くらましにもなっていて、恐ろしさがじわじわと足元から這い上がってくる心地がする。先が気になって手が止まらない一冊だった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する