本格小説 下*水村美苗

  • 2015/03/17(火) 17:13:27

本格小説 下本格小説 下
(2002/09)
水村 美苗

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夏目漱石の遺作を書き継いだ『続明暗』で鮮烈なデビューを果たし、前代未聞のバイリンガル小説『私小説from left to right』で読書人を瞠目させた著者が、七年の歳月を費やし、待望の第三作を放つ。21世紀に物語を紡ぐことへの果敢な挑戦が、忘れかけていた文学の悦びを呼び招く。


上巻を読んでから時間が空いてしまったが、やっと下巻を読むことができた。上巻から持ち越された緊張感と昂揚感はそのまま続き、東太郎、冨美子、よう子、そして三枝三姉妹や関係者たちもそれぞれ歳を重ねて状況はずいぶん変わってくる。よう子は重之ちゃんと結婚し、娘も生まれたが、太郎に対する気持ちが消え去ってしまったわけではなかったのである。太郎とよう子、夫の重之三人の関係は、危うい緊張感の上に安定し、しあわせの極みとも言える時を過ごしもする。彼らが主役の物語でありながら、それよりも、語り手とも言える冨美子の一生の物語とも思われ、最後に語られる事実にその感をさらに強くするのである。人というもののむずかしさ奥深さ、底知れなさを思わされる一冊である。

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