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乙女の家*朝倉かすみ

  • 2015/03/20(金) 06:45:44

乙女の家乙女の家
(2015/02/20)
朝倉 かすみ

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内縁関係を貫いた曾祖母(78)、族のヘッドの子どもを高校生で産んだシングルマザーの祖母(58)、普通の家庭を夢見たのに別居中の母(42)、そして自分のキャラを探して迷走中の娘の若菜(17)。強烈な祖母らに煽られつつも、友の恋をアシスト、祖父母の仲も取り持ち大活躍の若菜と、それを見守る家族、それぞれに、幸せはやって来るのか。楽しき家族のてんやわんやの物語。


若菜の頭の中が文字になってすべて漏れだしているので、映像で見たとしたら単にそこにいるだけの状態にもかかわらず、ぐるぐるあれこれと面倒くさいほど思考が行ったり来たり絡まったり解けたりしているのが手に取るようにわかって、ときどき鬱陶しくもなるが、深くうなずけるところもある。こうやって自分というものを作り上げていくのだったなと、17歳の頃が思い出されもする。世代はもちろん、個性のまったく違う三人――若菜を含めれば四人――の女性と、またまた個性的な若菜の友人、それを取り巻く男性たちの関係性が、世間一般的に言えば不安定なのだが、やけに安定しているようなのも不思議である。初めのうちは、なんだかばらばらでとりとめのない寄り集まりのような印象だったのが、読み進めるうちに次第にぎゅっとまとまって感じられるようになるのも不思議な感覚だった。みんなにしあわせになってほしいと思える一冊である。

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