わたしたちはその赤ん坊を応援することにした*朝倉かすみ

  • 2015/04/04(土) 18:22:27

わたしたちはその赤ん坊を応援することにしたわたしたちはその赤ん坊を応援することにした
(2015/02/10)
朝倉 かすみ

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どこかで誰かがあなたの味方。
でもストレートには受けとれない、届かない、なぐさめや励まし……
ビターで不思議な7つの世界
◉森のような、大きな生き物――この子の未来を応援しよう、と決めた子がわたしたちにはいた。オリンピック代表の彼女に期待し、夢を託したが……。
◉ニオイスミレ――産む女を国家全体で支援する世界に住むスミレ。〈志願母〉の彼女は今日も国営のサロンへ通う。
◉あなたがいなくなってはいけない――入院が決まった。ステージII。その昔、離婚騒ぎで愚痴を聞いてもらったチョピンを思い出していた。
◉地元裁判――まちの結束を乱す人間は、亜子ちゃんの地域でも地元裁判にかけられる。ある日、卯月くん一家が消えた。
◉相談――波多野が何か相談したそうだったので課長のおれから飲みに誘った。転職か? 諭す準備はできていた。
◉ムス子――加賀谷は太った中年女に会った。元同級生、あだ名はムス子。彼女に起こったことを、この時の彼はまだ知らない。
◉お風呂、晩ごはん、なでしこ――フージコさんはみんなに愚鈍と笑われる。でも気にしない。かけがえのない仲間はあの中にいる。


初めの物語では、日本人ならだれでも知っているような登場人物たちを熱く応援したり、彼らの行動にちょっとがっかりしたりと、応援する側の者たちの心情や身勝手さが浮き彫りにされていて、自分の中のちょっぴり意地悪な視線が白日の下に晒されたような居心地の悪さと、妙な納得感がもたらされる。そのほかの物語のどれもが、事実を少し斜めから冷めた目で見ているような、気が咎めるようなことをするときに、ふと周りの視線を気にしてしまうような居心地の悪さが感じられて、自分の中の影の部分に一瞬光を当てられているような気分にさせられる。淡々とした文章であるにもかかわらず、心の中に深く食い込んでくるような一冊である。

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