EPITAPH東京*恩田陸

  • 2015/04/13(月) 16:46:54

EPITAPH東京EPITAPH東京
(2015/03/06)
恩田 陸

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東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」―。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは―。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!


ジャンル分けが難しい作品である。エッセイかと思えばドキュメンタリーでもあり、ファンタジーでもありながら戯曲でもある。「筆者」を主語にしたエッセイ風の部分は、実際に著者の日常ではないかと思ってしまうほどエッセイのようである。だがその中に、知らず知らずのうちに何百年にもわたって別の躰にやどり続けているという吸血鬼・吉屋の語りにのめり込み、かと思うといつのまにか、とあるマンションの一室に集まって宅配弁当を作りながら仕事を請け負う女たちの物語に惹きこまれている。それはあたかも夢の中で、次々と場面が切り替わるのになぜか辻褄が合ってしまう不思議さのような感覚である。そしてまた、東日本が大きく揺れたあの日に、別のなにかも人知れずほんのわずかずれ、その世界をさまよっているのかもしれないという心地にさせられる一冊でもある。

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