神様のケーキを頬ばるまで*彩瀬まる

  • 2015/04/21(火) 07:14:41

神様のケーキを頬ばるまで神様のケーキを頬ばるまで
(2014/02/19)
彩瀬 まる

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私は他人に語れることを何一つ持っていない―むつみ(マッサージ店店主)。やっぱりここは、俺にふさわしい七位の場所なのかもしれない―橋場(カフェバー店長)。私から、こんな風に頭を下げてでも、離れたいのだ、この人は―朝海(古書店バイト)。どうすればあの人は私を好きになってくれるのだろう―十和子(IT企業OL)。私は、真夜中の散らかった1DKの部屋で、びっくりするほど一人だった―天音(元カフェ経営者)。きっと、新しい一歩を踏み出せる。ありふれた雑居ビルを舞台に、つまずき転んで、それでも立ち上がる人の姿を描いた感動作!


錦糸町という、流行の最先端とはいいがたい街の雑居ビルに入る五つの店で働く五人の物語である。五人には緊密なつながりはないものの、ウツミマコトというクリエイターの作品が共通するキーポイントになっている。自分の人生に欠落感を抱くそれぞれが、ウツミマコトの作品に自分の胸の裡を投影させたり、反発したりする心の動きも興味深い。常に内省し続け、内へ過去へと意識を向けてきた彼らが、老朽化による取り壊しによってビルを出る時、何かが少しずつ動き出したのだろうか。誰にでもある屈託を、わかりやすい言葉で描き出している一冊だと思う。

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