永い言い訳*西川美和

  • 2015/05/02(土) 18:39:34


長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。


バスの事故で妻・夏子を失った作家・津村啓(本名:衣笠幸夫)と、夏子と一緒だった友人・ゆきの夫と二人の子ども。突然家族を喪った者の反応は一律ではない。悲しみや喪失感の質もまたそれぞれであり、その表し方も然りである。これまでの妻との関係を振り返り、妻の愛を素直に受け取れずひねくれた感情にとらわれる幸夫と、妻を喪った喪失感をまっすぐに表し続けるゆきの夫・陽一。そして、幼いながらに母亡き後の日々をけなげに生きる兄妹。彼らの通常ならば不自然とも言える関わり方の中で、彼らはお互いに助け合い依存し合い、ときには反発し合いながら、ほんの少しずつ自分を取り戻していく。正解などどこにもなく、胸を締めつけられながらも励まされる心地になる一冊である。

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