睦月童*西條奈加

  • 2015/05/24(日) 18:43:58

睦月童(むつきわらし)
睦月童(むつきわらし)
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西條 奈加
PHP研究所
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おめえの鏡は罪じゃあなく、人に残った人らしいところを映すんだ。人にとっていちばん大事な、あったかい心だ。
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた一人の少女・イオ。彼女は「人の罪を映す」という不思議な目を持っていた。荒れた生活を送っていた酒問屋の跡取り息子・央介は、彼女の目をみたことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を贖おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことに。しかし、イオの出生の秘密を知る侍が現れたことで、二人の運命は大きく動き始める……。
人にとって「罪」とは何か。そして「許し」とは何か。イオの不思議な能力の源泉に隠された秘密とは何か。そしてイオの過酷な運命を、央介は救うことができるのか。日本ファンタジーノベル大賞でデビューした著者が贈る、感動の時代小説。


江戸物語とファンタジーの融合といった趣である。ホラーテイストもほんの一滴、という感じ。ファンタジーもホラーも苦手な分野ではあるが、本作は無理なく読み進めることができた。下酒問屋(くだりさけどいや)の放蕩息子・央介と、彼の両親が息子を案じて呼び寄せた睦月童のイオとの出会いと心の通い合いが微笑ましく、あたたかくて、二人とその周りの人たちとのしあわせを知らず知らず願ってしまうのである。睦月神とそれを崇める里人、そして里人たちのためにその信仰を断とうとする想いに切なさも募る。ラストは、ほのぼのとしているようでもあり、また何か恐ろしいことが始まる予感も含んでいるようでもあり、ドキドキさせられる一冊である。

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