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煩悩の子*大道珠貴

  • 2015/06/13(土) 07:06:05

煩悩の子
煩悩の子
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大道 珠貴
双葉社
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桐生極は小学校五年生。
周囲にズレを感じているが、まだその「違和感」を上手く言葉にできない。
どういう局面でも腑に落ちないし、落ち着かない。
でも、油断はしていない。ただひとつだけわかっているのは、
いまここで間違ったら、先々どんくさい人間になりかねないということだ。
少女の素朴でシニカルな視線から描く、ユーモアと哀感漂う傑作長編。


「幸薄い顔の小学五年生」 「敵」 「あの子と遊んではいけません」 「秋」 「色つきの世界」 「白い闇」 「恋がいっぱい」 「真実」

自分自身のことや自分の置かれた状況を冷静に客観的にみつめ、周囲との違和感をも俯瞰しているような極(きわみ)だが、かと言って達観しているというわけでもなく、小学五年生なりの処世術にあれこれ悩みもするのである。大人びているようでもあり、子どもっぽいようでもある、11歳という時期に特有の心理状態であるようにも見える。久々の大道作品だったので、あぁ大道さんってこんなんだったな、という親しみもあり、にんまりしながら読み進むことが多かったが、当事者の極にしてみれば大変な毎日だろうと察せられる。極がどんな大人になるのか見てみたい心地になる一冊だった。

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