虚貌*雫井脩介

  • 2004/12/10(金) 08:06:09

☆☆☆☆・


 犯罪小説にまた新たな傑作が誕生した。
 登場人物それぞれの人生を描く秀逸な筆致は、
 宮部みゆき『模倣犯』、奥田英朗『邪魔』に必肩する。

                    ――茶木則雄(文芸評論家)

21年前、岐阜県美濃加茂地方で、運送会社を経営する一家が襲われた。社長夫妻は惨殺され、長女は半身不随、長男は大火傷を負う。間もなく従業員3人が逮捕され、事件はそれで終わったかに見えたが・・・・・。

復讐を何が何でも遂げようとする情念の凄まじさは、冷静に計画を練り根回しをするという途方もない力となったのである。
目に見える激しさよりも長い間途切れることなく裡に湛えられていた恨みの激しさの方が どれほど温度が高いかを思い知らされる。

癌に冒され、幾ばくもない命と知りながら、新たに起きた事件に21年前の事件の影を見出し、まさに命がけで真犯人に迫る刑事・滝中守年の執念にも圧倒される。

人は、いくつもの別の人生を歩けるものなのだろうか。

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