罪の余白*芦沢央

  • 2015/07/01(水) 07:09:18

罪の余白
罪の余白
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芦沢 央
角川書店(角川グループパブリッシング)
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高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。娘は、なぜ死んだのか。自分を責める日々を送っていた安藤の前に、加奈のクラスメートだった少女が現れる。彼女の協力で娘の悩みを知ったとき、待っていた現実とは―。大切な人の命を奪われたとき、あなたはどんな償いを求めますか。第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作。


やはりこの著者の作風とは相性がいいようである。陰湿ないじめによって同級生を死に追いやってしまった女子高校生たちと、突然娘を喪った父親に焦点が当てられている。女子高校生たちの仲がよさそうに見えるその裏側での日々の闘いの凄まじさは、日常的であるゆえに残酷さを増し、彼女たちの心の動きがリアルに感じられる。父親の苦悩と狂気に想いを致すと、身悶えするほどの痛みと虚しさに浸される。美しくも残酷な魚ベタや、父親の同僚であるアスペルガー症候群の女性の存在がもっと効果的に生かされればよかったとは思うものの、本筋の静かな力強さが損なわれるものではないと思う。誰もしあわせにならない物語ではあるが、とても興味深い一冊だった。

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