悪いものが、来ませんように*芦沢央

  • 2015/07/09(木) 20:48:00

悪いものが、来ませんように (単行本)
芦沢 央
角川書店
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かわいそうな子。この子は、母親を選べない―。ボランティア仲間の輪に入れない、子育て中の奈津子。たとえば、いますぐわたしに子どもができれば―。助産院の事務をしながら、不妊と夫の不実に悩む紗英。二人の異常なまでの密着が、運命を歪に変えてゆく。そして、紗英の夫が殺されて見つかった。女2人の、異常なまでの密着、歪な運命。気鋭の新人が放つ心理サスペンス!


またまた面白かった。置かれた境遇は違い、胸に抱える悩みや葛藤も違うが、互いに依存しすぎているような奈津子と紗英。そんな彼女たちが起こしたある事件。奈津子と紗英それぞれによって、そこに至るまでの日々や自らの想いを語られ、その間に挟みこまれるように、事件後にインタビューされたような形式で、かつての同級生や彼女らを知る人たちが、当時の彼女らのことを語る。大多数の読者は、小さな違和感を覚えつつも、奈津子と紗英の関係性を疑うことはないと思われるが、あるところで極さらっと真実が明かされ、途端にそれまで見えていたものががらっと姿を変える。そのぞくぞく感が堪らない。さらに視点の転換はそれだけでは終わらないのである。冒頭から興味に突き動かされるのだが、途中からは真実を知りたくてページを繰る手が止まらなくなる一冊である。

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