モダン*原田マハ

  • 2015/07/17(金) 12:55:17

モダン
モダン
posted with amazlet at 15.07.17
原田 マハ
文藝春秋
売り上げランキング: 24,183

ニューヨークの中心、マンハッタンに存在し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂。それが「MoMA」ニューヨーク近代美術館。近現代美術、工業デザインなどを収集し、20世紀以降の美術の発展と普及に多大な貢献をしてきたこの美術館を舞台に、そこにたずさわる人々に起きる5つの出来事を描いた自らの美術小説の原点にとりまくんだ美術小説短編集がついに刊行。

『楽園のカンヴァス』で、山本周五郎賞を受賞、本屋大賞三位を獲得した原田マハが、半年間勤務し、『楽園のカンヴァス』でも重要なモチーフとなった〈ルソー〉の「夢」も所蔵する「MoMA」が舞台。『楽園のカンヴァス』とは、世界観を共有し、その作中人物も登場。「新しい出口」は、マティスとビカソ、そしてある学芸員の友情と別れを描いた作品。そのほかにも、アメリカの国民的画家〈アンドリュー・ワイエス〉と〈フクシマ〉の原発事故について描く「中断された展覧会の記憶」、MoMAに現れる一風変わった訪問者にまつわる監視員の話「ロックフェラーギャラリーの幽霊」、初代館長アルフレッド・バーと、美しきMoMAの記憶を、インダストリアルデサイナーの視点から描いた「私の好きなマシン」、美術館に併設されたデザインストアのウィンドウにディスプレイされた日本に待つわるものについての意外なエピソードをつづった「あえてよかった」など、著者ならではの専門的かつ、わかりやすい視点で、芸術の面白さ、そして「MoMA」の背景と、その歴史、そして所蔵される作品群の魅力を、十二分に読者へと伝える待望の「美術館」小説集。


「中断された展覧会の記憶」 「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」 「私の好きなマシン」 「新しい出口」 「あえてよかった」

美術館が舞台であり、MoMAで働くさまざまな職種の人たちにスポットが当てられた短編集である。美術館の表舞台に出るのはもちろん作品であるが、その舞台裏ではたくさんの人々が尽力し、展覧会が開催されるまでには数多の折衝や個人的な葛藤もあり、そのまた裏には直接には関係のない個人的な事情が思いもしない影響を及ぼすこともあるのだという思いを新たにさせられる。どこにいても何をしていても、人は人だし、ひとりで生きていくことはできないのだとも思わされる一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する