星読島に星は流れた*久住四季

  • 2015/07/24(金) 18:51:33

星読島に星は流れた (ミステリ・フロンティア)
久住 四季
東京創元社
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天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。それほど天文には興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎回凄まじい倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ。犯人は、この六人のなかにいる―。奇蹟の島で起きた殺人事件を、俊英が満を持して描く快作長編推理!


数年に一度隕石が落ちるという星読島。そしてその島には個人所有の天体観測所「星読館」があり、天文学者・ローウェル博士が天体観測をしながら暮らしている。これだけですでに何か仕掛けがありそうな予感が膨れ上がる。さらに、天文好きが集うインターネット上のフォーラムのメンバーから厳選された数名が島に招待され、運よく隕石が落ちたら、彼らのうちの誰かがそれをもらうことができるというのである。天文にさほど興味があるわけではない医者で、物語の主人公である加藤盤も、ある事情から応募して運よく招待されるのだが、孤島と言ってもいい星読島で殺人事件が起こる。招待者たちには面識がなく、年齢も住まいも境遇もさまざまななか、犯人探しと疑心暗鬼に苛まれるのである。加藤盤が探偵役となって、事件を解明しようとするのだが、そこにまた新たな事件が――。判断材料が少ない中、答えにたどり着くが、それがまた二転三転するのも興味深い。真犯人は誰もが考えるだろう人物ではあるものの、その動機は哀し過ぎてやり切れない。なかなか魅力的な一冊だった。

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