武道館*朝井リョウ

  • 2015/07/27(月) 07:03:49

武道館
武道館
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朝井 リョウ
文藝春秋
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本当に、私たちが幸せになることを望んでる?恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業…発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取りまく言葉たち。それらを突き詰めるうちに見えてくるものとは―。「現代のアイドル」を見つめつづけてきた著者が、満を持して放つ傑作長編。


アイドル物語、とひと言では言ってしまえない何かがある。まず目から鱗だったのは、アイドルとひと口に言っても、自らが望んでなる場合もあれば、歌って踊るのが好きだというただそれだけで気づけばアイドルになっていたという場合もあり、女優など別の道を目指していたのに事務所の都合でアイドルにされてしまったというようなこともあるのだということである。アイドルの思いとて決してひとつではないのだという、当たり前のようなことにいまさら思い至る。しかもやりたいことをただやりたいようにやっているだけではアイドルにはなれないのである。そこには不条理にさえ思える暗黙の掟が存在し、アイドルたちはファンの期待やそれらの掟にがんじがらめにされる内、次第に自分を見失い、存在を疑うようになったりもするのであろう。仕事だと言ってしまえばそれだけだが、それにしては自らの意志が生かされなさすぎる気もするのである。そんなアイドルの在りように、このラストはある種風穴を開けてくれたようにも思えて、ちょっとすっきりした。華やかで過酷で、極普通の少女たちが描かれた一冊である。

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