「ワタクシハ」*羽田圭介

  • 2015/08/13(木) 18:32:45

「ワタクシハ」
「ワタクシハ」
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羽田 圭介
講談社
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人生賭けたい夢がある。でも、内定は欲しい。かつて、高校生でギタリストデビューを果たした山木太郎。しかし栄光も束の間、バンドは解散。すっかり燻り、大学三年の秋を迎えた太郎の周囲は「シューカツ」に向けて慌しく動き出していた。その“一発逆転システム”に魅せられ、就活戦線に身を投じる決意をする太郎。「元有名人」枠で楽々内定を勝ち取れると思っていたのだが―。就職氷河期「以下」の今に問いかける、書き下ろし最新長篇。


17歳でギタリストとしての腕を見出されてデビューし、一時世間を騒がせた山木太郎が主人公の大学生活後半物語である。大学三年にして、早くも過去の栄光にしがみついているとも言える現状は、客観的に見れば、学生にもギタリストにもなり切れないどっちつかずにしか見えない。同級生たちが黒づくめで奔走する就活も、初めは横目で見ているだけだったが、人生勉強と自分に言い訳しつつ、ある意味甘く見て臨むのだったが……。就活に向き合うことが自分と向き合うことになり、恋人や友人たちと向き合うことにもなり、少しずつ成長していく姿は、応援したくもなるのだが、就活の在り方自体に対する疑問や不信感は増すばかりである。自分の人生を掴み取るために奔走する学生たちの賢明さは評価しながらも、(言い過ぎかもしれないが)どこか滑稽にも見えてしまうのはわたしだけだろうか。大学の存在意義までも考えさせられてしまう。ラストの後日譚があまりに平穏なのも、ちょっとなぁ、という感じである。いろいろ考えさせられる一冊であったことは間違いない。

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