兄と弟、あるいは書物と燃える石*長野まゆみ

  • 2015/08/16(日) 06:56:46

兄と弟、あるいは書物と燃える石
長野まゆみ
大和書房
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その家とその本は、何を隠しているのか──?猫の住む家に集う人々とカルト的人気の小説を幾重にも取り巻く甘美な罠。謎に満ちた物語。


読みはじめ、中盤、終盤と、開くページによって全く様相が変わってしまう物語である。物語は大きな一本の樹ではあるのだが、枝葉はまったく別の顔をしている。プレゼントをもらってリボンを解き、箱を開けるとまたそこには少し小さな別の箱があり、それはそれでとてもきれいで、手にとって開けるとまたその中には別の箱が……、というくらくらするような心地になる。ひとつの事実を知るたびに、頭の中を整理し、新たな筋道を探ろうとするのだが、次の角を曲がると予想もしなかったことが待っている。一体誰が実存で、誰が虚構なのか。そもそもどれが事実でどれが妄想なのか。考えれば考えるほどわからなくなるのだが、とても静かで穏やかな一冊でもあるのが不思議である。

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