アイネクライネナハトムジーク*伊坂幸太郎

  • 2015/08/27(木) 16:37:12

アイネクライネナハトムジーク
伊坂 幸太郎
幻冬舎
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ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL…。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。


あとがきに書かれているように、初めの二編は、斉藤和義さんに「恋愛をテーマにしたアルバムを作るので、『出会い』にあたる曲の歌詞を書いてくれないか」と頼まれたのがきっかけだそうである。恋愛ものには興味のなかった著者だが、斉藤和義さんのファンだったので、引き受けることにしたのだとか。なので、このところの著者の作風とはいささか異なった物語になっている。だが当然伊坂さんである。主題が恋愛に関するあれこれだとしても、てんでに散らばっているように見えるパズルのピースを、最後にはきっちりしかるべきところにはめ込んで見せてくれるのである。場所を、時を、自在に行き来しながら、ある時は親子、またある時はかつての同級生、という風に、登場人物が次々と繋がっていくのは、見ていてぞくぞくする。そして油断していた最後の最後にまで、こんな人物が、と思わせる人がピースのひとつになっていて興奮する。恋愛に留まらず、広く愛と、そして勇気の物語と言っても間違いではないと思われる一冊である。

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