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発火点*真保裕一

  • 2004/12/19(日) 08:12:53

☆☆☆・・


 12歳のあの日、父が殺され、少年時代の夏が終わった。
 人生を変えた殺人。胸に迫る衝撃の真相。
 なぜ友の心に殺意の炎が燃え上がったのか?

                           (帯より)

12歳の夏に父を殺された杉本敦也が、「父を殺された少年」としてではなく「杉本敦也」として歩き出せるようになるまでの物語。

傍から見れば敦也は、常に拗ねたような可愛げのない態度で人に馴染もうとせず、自分勝手で堪え性のない奴、に見えたかもしれない。ある時期までは 確かにそんな生き方をしていたのだから仕方がない。
物事は往々にして気づくことから始まるのではないだろうか。
気づけなかったことは、通り過ぎるだけで、始まりもしないうちに無関係になっていくのだ。
気づけなかった頃の敦也は確かに、自分の手の中にあるものよりも他人が持っているものの方が良く思え、不満ばかり抱えている弱い人間だった。
しかし、気づけた時から彼の目に映る景色はおそらく違ってきたのだ。気づけなかったことで失ったものは多いが、失ったことに、そして失ったものの大切さに気づくことができて、彼は初めて自分のために生きることができるようになったのだ。

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